【心理カウンセラー体験談】臨床心理士

 

 

臨床心理士の資格をお持ちの女性(←本文の文体が男性っぽいですけど、ご本人は女性です)にお話をうかがいました。まだ資格をとりたての新人心理カウンセラーさんですが、「臨床心理士として働きだしてから5年間は、1年ごとに職場を変えて実力をつけていこう」と思っていらっしゃるそうで、とても向上心の高い方だと思いました。



 

 

1.心理カウンセラーを目指すことになったきっかけ

 

いつも勉強や就職に役立たないことばかりを考えてきた。それを活かせるのが、哲学者か小説家か心理カウンセラーだと思った。

 

哲学者になったところで、大学の教授になるか、中学・高校の社会や倫理などの先生になるかで、結局私の下らない考え事が仕事に活きるかというと、そうでもない。小説家になっても、売れるか分からない。それほど文章力もなければ、ネタがポンポン出るわけでもない。

 

一番私の下らない考えを活かせて、尚且つ仕事としてやっていけそうなのが心理カウンセラーだった。心理カウンセラーを仕事としてやっていくには臨床心理士という資格を取るのが一番適切だと知り、臨床心理士の資格を取ることになった。

 

2.資格の勉強よりも指定大学院の勉強が大変でした

 

資格の勉強より、指定大学院の勉強の方が苦労した。英語が得意ならまだ楽かもしれない。英語が不得手なら辛い勉強になる。

 

大学時代に心理学検定をしたが、これは自分の実力をはかるのに便利だ。何が苦手なのかも分かる。授業で漏れているキーワードも拾うことができるため、指定大学院を受験をするなら一度はやっておいた方がいいだろう(やらなくても受かる人は受かるが)。

 

資格の勉強は、マークシート形式のため過去問をひたすら解きまくって出題の傾向や引っ掛けのパターンを分析すれば楽に合格できる印象。論文記述は文字数いけてたら大丈夫のため、ひとまず最低限自分が持っているケースで工夫したことや苦労したことを書けるようにしていればいけると思う。面接は同期に協力してもらって模擬面接を行うといいかと思う。

 

3.臨床心理士の資格を取ってからは終活が楽になりました

 

合格してからは、就活が楽になった。院卒したての資格無しの人にカウンセリングをさせてくれる所はなかなかない。院卒しても資格試験に合格するまでは、発達検査や知能検査ばかりやる仕事が多いかな(地域差はあるかも)。新米にカウンセリングをやらせてくれる職場は貴重。

 

 

臨床心理士として働きだしてから5年間は、1年ごとに職場を変えて実力をつけていこうかと思っている。人を見る仕事のため、一カ所だとクライエントのパターンもある程度固定されてしまうため、あらゆるクライエントに対応できるように、あまり一カ所には留まるつもりはない。

 

天才的なセンスの持ち主なら、そういったことをしなくてもいいだろうが、生憎私は凡人故、土台固めに必死になるしかない。裕福でなければ、経済的に厳しいやり方だが、貧乏くさく貯金しまくるしかない。

 

4.心理カウンセラーの仕事は楽しさもあるがキツイことも多い

 

資格を取るまでにも金がかかるが、資格を取ってからも学会やSV、教育分析など、なにかと金がかかるため、貧乏してでもやりたい仕事でないならやらない方がいい。

 

仕事は楽しさもあるが、正直キツいと思うことも沢山ある。精神的なキツさや、経済的なキツさの両方の意味でキツい。カウンセリングのどこに楽しさを感じるかは人それぞれだと思う。

 

先輩の臨床心理士を見ていて思うが、正直な話、向上心がないと使えないカウンセラーのまま落ちぶれていくだけだ。適度な適当さは必要だが、いいカウンセラーに適当な奴は一人もいない。手抜き癖がある奴ほど、クライエントに嫌われている。私個人の印象にすぎないが、そう見えている。

 

5.もともと変わり者の私に向いてる仕事だと思います

 

心理の世界は変わり者も多いため、多少変わっていても浮かない。私は変わり者の部類のため、この辺はとてもありがたい。変わり者なら居心地いい仕事かもしれない。一般的でない発想も、たまにカウンセリングに役立つ。他の仕事と比べて変わり者でもいきいき仕事がしやすいかもしれない。

 

それでも人間関係に苦労しないわけではない。自分以上に変わった人間に出会うこともある。クライエントだけでもしんどいのに、正直そういう出会いもしんどかったりする。人間関係に悩むからこそ、人間関係に悩むクライエントのことが分かるというもの。心理学をやっていても人間関係は悩まされることに変わりない。

 

6.心理カウンセラーだからといって人の心が読めるわけではない

 

心理学をやったところで、何か劇的に楽になることは、少なくとも私にはない。ちなみに心も読めない。心読めたらエスパーなんで、心理学者ではなくエスパーになりましょう。

 

心理学勉強して、いっぱいパターン覚えて、パターンに当てはめればすぐ分かるなんてものでもない。そんな簡単に分かりはしない。ひたすら理論を駆使して考えてるだけだ。心を読んでいるわけではない。

 

なのによく誤解される。「じゃあ、私の心読んでみて〜」とか、無茶ぶりされる。めちゃくちゃ辛い。説明も面倒くさい。私はエスパーではない。お願いだから分かってくれ。何度説明しても理解してもらえない時とか嫌で嫌で死にたくなる。

 

7.いっしょに勉強してきた大学院時代の仲間は貴重です

 

大学院時代の同期はそういう辛さを共有しやすい仲間のため、大事にした方がいい。大学院時代は課題と実習と論文とカウンセリングで死にそうになった。もう二度としたくない。もう一度大学院時代をやり直せとか言われたら死にます。

 

そんな時代を共にした仲間は貴重。学生だから暇だろう、とか言われるが大学院時代は暇ではなかった。家に帰れないときもあった。院生室に寝泊まりすることもあった。もう二度としない。本当にしたくない。

 

8.最近もいろいろな本を読んで勉強しています

 

カウンセリングし始めの頃はひたすらカウンセリングの本を読んだ。私が読んだものであれば、A・ストーさんの『心理面接の教科書』や熊倉伸宏さんの『面接法』など。他に認知行動療法(CBT)の勉強も役立つ。

 

 

認知行動療法は苦手でも、少しはできるようになっておいた方がいい。特にマインドフルネスは使いやすい。今読んでいるのは、マシュー・マッケイさん他『弁証法的行動療法 実践トレーニングブック』。認知行動療法がどうしても無理であったり、どうも慣れないのであれば、表現療法のバリエーションを増やすなどの工夫をするのも手だろう。

 

 

クライエントに合った関わりや、クライエントに必要な関わりを考えて、提供する。どうしても出来ないなら出来ないなりに工夫して、クライエントのためになる関わりをする必要がある。そういった柔軟性も求められる仕事だ。

 

9.人の人生に関わる仕事なので正直しんどいです

 

何か一つの療法ができるだけで生き残れるのは、ほんの一握りだろう。クライエントによっては知能も違えば性格も気質も環境も違う。「知能低すぎるのでカウンセリングできません。はい、終わり」ではなく、カウンセリングはできないが、周囲の関わり方として、どういう関わり方をしていけばいいのかを考えられなければならない。

 

カウンセリングできないから関係ないのではなく、カウンセリングできない相手でも心理学の知識を生かして何か援助を行わなければならないこともある(職場によっては、そういったことが頻繁にある)。それだけ人の人生に関わる仕事でもあるため、しんどいです。自分の人生と他者の人生を上手く切り分けながらも、共感しつつ、話を聴くスキルが必要となる。

 

10.勉強したことをどう工夫して活かすかが求められる仕事です

 

自分の立ち位置がどこなのかも常に意識する。他職種との連携をするために、カウンセリング以外の雑務もすることになる。カウンセラーであることを蔑ろにするわけでもなく、カウンセラーであることを誇示するわけでもなく、自分の立ち位置でできることと、チーム全体として上手く機能するように計らうことが大事。1対1だけでなく、集団も相手にできるだけの力も求められる。

 

勉強したことだけができても仕方がない仕事でもある。勉強したことをどう工夫して活かすかが求められる。枠のない環境でも、どう対応するかを考えなければならない。基礎は勿論、応用力も必要。工夫を凝らす前に諦めてしまうことのないように。

 

公認心理士という資格ができるらしいから、次はその試験を受けようと思う。