【心理カウンセラー体験談】産業カウンセラー

 

 

産業カウンセラーの資格をお持ちの女性にお話をうかがいました。お勤めの職場で「上司のパワハラ」があったそうで、「何故そんな事を言うのか、逆に知りたくなってしまった」ことが産業カウンセラーの資格に興味を持ったきっかけだそうです。資格取得の具体的な流れを説明していただきましたので、産業カウンセラーに興味のある方に参考になると思います。



 

 

1.産業カウンセラーの資格取得のきっかけ

 

私は新卒時から昨年まで教育の仕事に携わっておりまして、主に相談業務に乗ることが多くありました。中学生向けの塾に勤務していた時は主に進路相談という事で高校進学の相談を保護者も交えて行っておりました。

 

また通信制高校に勤務していた際も進路相談もあったのですが、それ以前に不登校経験者やうつ・発達障害により全日制高校から転校してきた生徒が大半であり、自己肯定感がとても低く、まずメンタルケアの必要性を感じておりました。

 

しかし専門的知識は乏しく、心理学は大学の教職課程で学んだ程度でしたので、一度時間を取って専門的なところで学びたい気持ちはあったものの、多忙な日々に追われてしまっており、なかなか本格的な勉強に踏み切れない状況でした。

 

そのような中で勉強のきっかけを作ったのが、「上司のパワハラ」でした。新人の先生に辛く当たったり、産休明けの方に嫌味を言ったり、など他の上司の方も顔をしかめておりましたが、その上司は人事の実権を握っておりましたので、言うに言えない雰囲気が蔓延しておりました。

 

案の定、私のところへも数字が悪いなど嫌味を言ってきましたが、私は何故そんな事を言うのか、逆に知りたくなってしまったのです。そして知り合いにその状況を話したところ、「産業カウンセラー」という資格を紹介してくれました。

 

資格のHPを見ると、カウンセリングプロセスの基礎基本、心理関連、労務関連、と様々な項目が学べることが分かり、まず資格を取得するには養成講座を受講する事が必要との事でした。その養成講座は通信講座でもスクーリングで土日の面接実習が必要との事。

 

不規則な勤務形態では参加は難しいかなと悩みましたが、自分の中で次のステップに踏み出したい気持ちが強くなり、退職後派遣で一般事務の仕事に就きながら勉強を進めました。

 

2.産業カウンセラーの資格取得のプロセスについて

 

産業カウンセラーの資格取得を目指すには、まず受験資格が必要となります。心理系の大学出身者は既定の履修科目があれば受験できますが、そうでない方は養成講座で既定時間の面接実習の出席と課題レポートの提出が必須となります。

 

養成講座も2パターンあり、7か月の通学講座と1年間の通信講座があります。申込みの時期が決まっておりますので、いつでも始められるというわけではありませんので、そこは注意が必要かと思います。

 

私は通信講座を選択し、自宅では課題レポート、面接実習ではグループになってカウンセリング実習を行いました。しかし、あくまでこの養成講座は受験資格を得るまでのものになります。実際の試験は「筆記試験」と「実技面接試験」の2つをクリアしなければなりません。

 

 

筆記試験は養成講座申込み時にテキストが自宅に届きますので、そのテキスト(400ページはあると思います)を丸暗記する必要があります。内容はカウンセリングの技法、歴史、心理学一般知識、心理学検査、労務知識…などなど非常に幅広いです。試験問題集の販売もありますが、基本ラインはテキストなので、試験前までにしっかりと頭に入れる必要があります。(養成講座の先生からは4回テキストを読んでください、とアドバイスされました)

 

面接試験においては、養成講座である程度の基準が認められた方に関しては免除になりますが、イマイチ基準がよく分からぬままです。私は基準に達しなかったので、実技面接試験を受けております。この実技面接は、ペアになった受験者がカウンセラー役とクライエント役にそれぞれなり、5分程度のミニカウンセリングを面接官の前で行う、というものです。

 

「筆記試験」と「実技面接試験」の両方が6割以上と認められた方が合格となります。まとめますと、「養成講座にて既定の出席と課題レポートを提出」→「筆記試験」→「実技面接試験」→合格 という流れになります。

 

3.産業カウンセラー養成講座の内容

 

1年間の養成講座でしたが、面接実習は月に1〜2回程度でした。いくつか教室が分かれておりましたが、私のいた教室は40人前後で、職業も私のような教員から一般企業の管理職の方から様々なところで活躍している方が多く、お昼休みなどは異業種交流会のような感じてとても有意義な時間でした。面接実習は初期・中期・後期と1年の中でもレベルを分けて行っており、心理関連を始めて学ぶ方でも安心して参加できるのではと思います。

 

カウンセリング実習は、8人ほどの小グループに分かれ、その中からクライエント役、カウンセラー役を交代で行い、実技指導者がオブザーバーとなって進めていきます。守秘義務があるので実際のカウンセリングの事は大体しか書けませんが、誰もが日常または仕事上で悩んでいること、行き詰っていることをリアルに相談し、役になっていないメンバーはそのカウンセリングのやり取りをみて考察します。そこから色々な気づきをもらえることが多く、私も自分の悩みをその場で話し、心が軽くなった事が何回もありました。

 

 

ただ最初はまだそれほど打ち解けていないメンバーにこんなこと話していいのかな、と躊躇しましたが、実技指導者より「ここは非日常の空間だし、守秘義務があるので安心して話して大丈夫だよ」とのアドバイスを頂き、話しているうちに違和感がなくなってきました。

 

産業カウンセリングは「傾聴」を基本とした姿勢でカウンセリングを行いますが、ただ聞くだけではなく、クライエントがどういう思いで悩んでいるのか、という気持ちの部分を大切にし、その後はクライエント自身が問題に気づき、解決できるよう援助していきます。その過程を自分でも体験しながら学べるのはとても良いのではと感じました。

 

4.養成講座を受講して良かったこと、辛かったこと

 

良かったことは、自分の気持ちに気づけたことです。元々教師を目指したいと思ったのも、定年まで安定して仕事をしたいという思いがあり、非常にキャリア志向が強かったのですが、カウンセリングの実習を通じて自分の置かれている環境、周りの環境、この仕事に就くきっかけ、将来の自分、など掘り下げていくうちに自分が今何をしたいのか、どうしていきたいのか、自分が目指す方向が少し見えてきたと感じます。

 

カウンセリング技法を身に付けて試験に合格する、という気持ちで始めたのですが、自分がカウンセリングを受けているんだ、必要としていたんだ、という気持ちにも気づけました。とてもその事はびっくりです。その反面、今まで自分の感情にふたをしていたものをこじ開けているような感覚にもなり、辛い過去やひどく傷ついた場面も思い出すこともあり、その事を話している自分が嫌になり、実習時に涙することも多々ありました。

 

しかしここは「自己一致」というカウンセリングの基本があり、自分の思いはズレていると余計に苦しくなってしまうとの事で、全部私は実習時にその思いを吐き出しました。そんな自分を受け入れることが大切、と実技指導官からもアドバイスがありました。私は何とかメンバーにも助けられ乗り越えることができましたが、他のグループで自分自身が辛くなって辞めてしまう方も何人かいました。

 

5.産業カウンセラーの試験について

 

試験は筆記試験と実技面接試験の2つです。筆記試験はマークシートで行い、第一部が知識試験で主にテキストからの出題、第二部がカウンセラーとクライエントとの逐語記録を読み、問題に答えるという内容です。

 

 

知識問題は発売されている問題集以外にも最近の労務関連の法律などにも触れておく必要があります。逐語記録問題は養成講座でも何回か触れる機会がありますので、復習しておく程度で大丈夫かと思います。

 

実技面接試験については、養成講座の実習を思い出せば大丈夫だと思います。緊張しますが、自信を持って臨むことが大事です。

 

6.産業カウンセラーの試験に合格した感想

 

私は筆記試験があまり出来ていなかったので、合格の自信は全然なく、郵送で届く通知がとても怖かったです。今回は特別にネットで合格発表があり、恐る恐る見てみると番号があり、嬉しい気持ちというより、ホッとしたというのが正直なところです。

 

 

7.産業カウンセラーからのさらなるステップアップ

 

今後はキャリアコンサルタントを目指したいと思っています。来年度からキャリアコンサルタントの国家資格化が決定しており、産業カウンセラー合格後に行われた特別講習を受け、向こう5年間は受験資格ができることとなりました。

 

キャリアコンサルタントの内容においては、キャリア教育の内容も含まれておりますので、合格後はまた教育の分野で関わることができたらと考えております。

 

8.これから産業カウンセラーの資格を目指す人へアドバイス

 

辛いことも時にはありますが、私は資格を取得出来て良かったと感じております。養成講座では様々な仕事を持った方が多くいますので、その分野の話を聞いてとても参考になったこともありますし、講座を通じてヨコのつながりが持てたことも大きなことでした。

 

取得してすぐに活躍できる資格ではありませんが、きっと役に立つと思います。