【心理カウンセラー体験談】臨床心理士

 

 

臨床心理士の資格をお持ちの方に、体験談をうかがいました。臨床心理士資格をとるための大学院入試のときの話や、大学院卒業後の臨床心理士試験に関する話など、いろいろ参考になるお話をうかがうことができました。

 

今現在は「出産育児のためお休みして」おられるそうですが、「子育てがひと段落ついたら、また多くの人にお会いできる臨床心理士として仕事をしていきたい」と語っていただきました。



 

 

1.精神障害のある身内の存在が臨床心理士を目指すきっかけでした

 

私は3年前に臨床心理士資格試験を受験し、臨床心理士になりました。現在は出産育児のためお休みしていますが、これまでの経緯や業務内容、大学院での体験をご紹介させていただこうと思います。

 

臨床心理士の資格証明証

 

1枚目の写真が臨床心理士資格証明証です。この資格を取得しようと思い始めたのは、私が高校2年生の頃でした。元々、精神障害を抱えている者が身内にいたことから、「なぜそのようになるのか」、「どうしたら治るのか」ということに興味を持ち始めたことが、私がこの職業に就くきっかけだったと思います。

 

そのような前向きな動機もありますが、大学受験という進路選択を迫られて、「自分自身ができること」というものが見当たらなかったという理由もあり、なんとなく心理学を勉強してみたいという曖昧な動機も正直なところありました。

 

心理学を勉強して何に生かせるのかといえば、やはりカウンセラーしかないだろうと当時の私は考え、ややはっきりしない意思ではありましたが、臨床心理学の魅力にどんどん引き込まれていき、臨床心理士になるという目標が徐々に明確になっていったように思います。

 

2.大学に進み精神的病理について学びました

 

私が進学した大学は、臨床心理学をはじめとした心理学の授業もありましたが、基本的には福祉の勉強をする大学でしたので、障害などの生きにくさを抱えた方をどのように支援するかをメインに学びました。その中で、自身にとって精神障害というものは身近なものでしたので、大学卒業と同時に「精神保健福祉士」の資格も取得したいと考えました。

 

「精神保健福祉士」と「臨床心理士」の仕事は、重なる部分もいくつかありますが、考え方、知識、対象者の方への接し方が根本的に違います。臨床心理士として働く中で、精神保健福祉士や看護師、そして精神科ドクターと連携しながら仕事することはしばしばあります。

 

その上で、それぞれの職業の違いを知っておくことは非常に大切になってきますので、そのためにも私は「精神保健福祉士」を取得しました。また、そのための勉強の中で、臨床心理士としても関わることの多い、精神的病理についても学ぶことができたのは、大変良かったと思います。

 

3.臨床心理士を目指して大学院入試試験の勉強をしました

 

通っていた大学には、臨床心理士資格をとるための大学院もありましたので、大学卒業後、そこに入学するために、大学3年後期から大学院入試試験のための勉強をしました。そこで使用したのが、2枚目の写真の参考書と辞典です。

 

大学院入試試験のために勉強した参考書と辞典

 

基本的には赤いテキスト(カバーがなくなっていて申し訳ないです)を使いながらノートを作成し、その中で出てきた単語を辞典でも調べながらより深い知識を身につけるように心がけていました。

 

大学院によっては、過去の入試問題を配布してくれるところもあるので、私は県内の大学院と臨床心理学では有名な京都大学大学院の過去問を集め、解いていきました。その中で問題の傾向をつかむこともできましたし、テキストだけでは足りない知識を埋めていくことができました。

 

4.大学院入試では臨床心理学特有のテクニカルタームが重要でした

 

大学院入試は、単純に単語を覚えていればいいというものではなく、臨床心理に関する単語を正しく説明できること、ある事象について自身の考えを知識を踏まえて説明できることが求められることが多いため、テキスト1冊では正直なところ勉強が足りないと思いました。

 

大学には、臨床心理学を専門とする教授もいらっしゃったので、その先生に勉強の相談にのってもらったり、わからないところを教えていただくこともたくさんありました。

 

また、大学院入試は臨床心理学のテストだけではなく、英語の試験もあったので、英語を読解する力を身につける必要もありました。入試自体は英和辞典の持込が可能でしたので、辞書を引くことに慣れておくのも大切です。

 

また、普通の辞書には載っていない、臨床心理学特有のテクニカルタームを覚えておく必要もありました。テクニカルタームは赤いテキストにも書いてあるものもありましたし、大学院入試の過去問を解く中で見つけたテクニカルタームを覚えていくことがかなり有効だったと思います。

 

5.大学院の実習でカウンセリングの技法を学びました

 

このように大学院入試の勉強をしたことで、なんとか大学院に入学することができました。これまで培ってきた知識が助けてくれることもたくさんありましたが、大学院の実習では、実際に来談者の方と会い、カウンセリング・心理療法・心理査定を行います。

 

知識だけでは足りない、人間性や態度、相手が自分をどう見ているのかという第3の視点というものを何度も何度も考えさせられ、見つめる体験をしていきます。これは、これまで自分ひとりで勉強すればできていたものとは全く違います。とても苦しい体験でした。

 

しかし、先生方は時に厳しく私たちに自分を見つめさせますが、その何倍も私たちを理解してくださいました。なにせ、臨床心理士のベテランの方々ですから、いたずらに私たちを傷つけているわけではないのです。これから臨床心理士やそのほかの心理の資格を取得しようと考えて折られる方にも、それを信じて、大学院での学びを深めていって欲しいです。

 

6.ロールシャッハテストなどの心理検査手法を学びました

 

さきほど少し、心理査定という単語を出しましたが、臨床心理士が行う心理検査の中で欠かせないものの一つとして、ロールシャッハテストがあります。そのテキストが写真の3枚目になります。

 

心理検査で欠かせないロールシャッハテストのテキスト

 

これをつかって、ロールシャッハの施行法、解釈法を学びます。ロールシャッハテストは、その人の性格傾向、認知の仕方、病態水準(精神的な病理の重さ)などについて査定するための検査です。

 

このロールシャッハテストは、さまざまな施行法、解釈法がありますが、私が学んだものは片口法というものでした。他にもエクスナー法など数多くのやり方があり、地方によって使っているやり方が違うようです。

 

7.臨床心理士資格試験に向けて入念に準備しました

 

臨床心理士資格試験を受ける資格を取得できる大学院の中でも、第1種指定校の場合ですと、大学院で2年間勉強した次の年に臨床心理士試験を受けることができます。

 

大学院の勉強の中でも、資格試験をパスするための多くの知識や経験を得ることができますが、さらなる勉強も必要になります。そこで私が使ったのが4枚目の写真のテキスト(こちらもカバーがなくてすみません)です。

 

資格試験をパスするための勉強で使用したテキスト

 

大学院を共に過ごした仲間と勉強会を開き、過去の臨床心理士試験の問題を解いたり、テキストで分からなかった部分を共有したりして、大学院を修了してからの半年間を過ごしました。

 

臨床心理士試験はやはり知識が物を言いますので、大学院入試のさいに培った知識が非常に生きていたと思います。そのため、大学院入試で使ったノートなどは捨てずにとっておくとよいでしょう。

 

また、このとき臨床心理業務ができる職に就いていることも重要です。なぜなら、臨床心理士試験には面接試験もあり、その際に今している仕事について聞かれるからです。

 

この時、自信を持ってすでに多くの経験を現場で積んでいるのだということをアピールできると非常に強いです。知識も大変重要ですが、やはり実績や経験がみられる資格ですので、積極的に臨床心理の仕事をしましょう。最初は非常勤の仕事でもかまいません。

 

8.経験を積むためにスクールカウンセラーなど様々な仕事をしました

 

私は大学院卒業後、児童福祉施設で非常勤心理療法士として勤務していました。その後スクールカウンセラーになるなど、児童系の勤務が多くなりましたが、その傍らで、クリニックで心理査定のバイトもさせてもらうなど、さまざまな分野で仕事をしていくようにしていました。

 

日本心理臨床学会の会員証

 

このようにして、臨床心理士資格を取得し、現在は休職中ですが日々研鑽を積んでいます。先ほども述べたとおり、経験や実績、キャリアがなければ信用されません。そのため、私は学会(写真5)に参加するなどして、全国の臨床心理士の考えややり方を学んでいます。

 

9.臨床心理士の仕事にとてもやりがいを感じています

 

臨床心理士としての道に生涯終わりはありません。今回、このように自身の体験を書いてみて、まだまだ書き足りない感覚があります。それは、言葉では表しきれない数え切れない体験をしてきたからだと思います。

 

何度も考え、何度も立ち止まり、その中で人生について悩んでいる来談者の方とお会いしながら、その方がその方なりの答えや選択を見つけていく過程を共に出来るのは、私の人生にとってもとても大切なことです。

 

最初に「精神障害をどうしたら治せるのか」に興味をもったと書きましたが、精神障害は治すものではなく、どのようにそれを抱え、生きていくかなのです。それを、共に考えていくのが臨床心理士の仕事だと今は考えています。

 

とてもやりがいのある仕事です。大変なこともありますが、子育てがひと段落ついたら、また多くの人にお会いできる臨床心理士として仕事をしていきたいと思っています。